「下北沢駅周辺のまちづくり計画について」

1. 区と北沢地区の社会・経済

素案より引用すると、区の人口はほぼ80万人を上下してゆくだろう。世帯数は核化もありやや増えるだろう。しかし高齢化と少子化は同時に進むから区の人口・社会は今後大きな変化はないだろう。経済構造はIT関連での企業や小規模化がすすみ、勤務・労働形態も変わってゆくだろう。区内は農工型でなくてソフト関連の職住接近か職住混在型の特色を強めるだろう。だが東京都という大きな飽和に近い経済圏の中に含まれて世田谷区は持続的な控えめの成長を続けるだろう。日本国や東京は過去のような経済の急成長時代には戻らないだろうと考える。
北沢地区も同じこと、人口は僅かだが減少傾向を示し、それが持続するか横ばいの予測をしている。老齢化は進み、児童の数も少なく、個人経営者中心だった商店街は経営者の老化と相俟ってコンビニ、スーパー、チェイン店が多くなり、店舗の業種も変わり地元の人にとっては昔を想いだせる姿が少ない街になってきた。多くの外来者を呼ぶ週末や祝日のまち歩きをはじめ、ライブ・演劇に惹かれる人々が来る街になり、独特の細い路地の多い商店街は賑わいを見せている。地元の人々の生活・買い物は日中より夕方、来訪者は夕方から夜と、街での行動パターンがうまくずれている。地元も来訪者にとっても自動車に拠らない駅を中心として広がった歩ける街である。

2. 区の政策の混乱

 区は地域の個性を生かした街づくりをテーマに掲げて(第1部2−2(1))いる。その個性は小田急、井之頭線のいくつかの駅の利用による訪問者がもたらす賑わいや地元住民の歩いた買い物が中心で、自動車利用者は道路網がうまく展開しなかったためか集まらなかった。そういうパターンで発展してきた。そして住民は狭い路地や宅地をうまく使う中で自動車保有を増やし利用してきた。自宅のガレージに2台、3台の車を見かけるのも良くある作今である。時間貸しのパークロットもある。自動車は街なかではゆっくり歩行者と同じように進み、周囲へでると幹線道路(環7、井之頭通り、茶沢通り、梅が丘通り等)に合流できる。道路交通のある程度の混雑・不便さを住民は何十年かけて容認してきた、そういう街である。 だから区は街の特色を生かすという。 
それなのに、その北沢に補54計画建設を推進すべく都と区が急に動き出している。戦後間もないときに計画線が引かれ50年以上放置され、そのままに街が鉄道という公共交通の駅を中心に歩ける街として形成され、個性を持てるように発展してきた。それを破壊して補54道路を新しく建設し駅前広場(バス停、タクシーや自動車の乗り場)につなぐ、どこでも見られるワンパターンの計画にする。経堂等と同じパターンにする。街の特色を生かすという区がやることですか?
想いだして欲しい。2年半前(H14.2)の東大原小での説明会後の都へ提出された住民意見では反対署名400名余に対して賛成0の署名であった。それは今の街でいいという意思表示であり、これをどう考えたかの説明もない。交通の混雑緩和が大事だと区長や都知事は主張しているが、周辺路線の交通量が新道路建設でどう混雑が緩和されるかのシミュレーション例示もないまま、漠然と述べているに過ぎない。民意尊重なら、なぜたてまえどおりに街の特色を維持しないのか?

3. 補54号建設は必要なし

 北沢周辺では周辺の幹線道路(環7、井之頭通り、茶沢通り、梅が丘通り等)の観測データを見る限り交通量は横ばいと概括できる註。目立つ混雑区間や交差点は見当たらない。しかも道路では井の頭通りの環七大原2…大山町交の間は4車線化がほぼ終了し、大山町から甲州街道を横切り中野通りへの新道路(補26号の一区間)も開通寸前である。周辺道路が整備されつつあるから、ある程度の混雑はあるが、自動車は北沢2丁目を横断して新設される補54がなくても容易に周辺の幹線道路を通行できる。
補54道路の新建設は用地収用に膨大な費用も掛かるしその経済効果と比較すれば到底容認できない浪費型の投資事業とのことは今まで再三私の申し入れたとおりである。まさに税金の浪費となる典型的な投資事業であり、こういうことが平気で行われることに強い憤りを感じている。区の職員は住民の請託のもとに職務を行うのではないのか?このことを承知で浪費事業を執行する人は、仮に民間の投資事業だったらどういうことになるのか考えて欲しい。官でも民でも事業費、利用量、効果、収入等を具体的に推計しないで説明不足のまま、建設を進めることはない筈だ。補54建設計画の再検討を要求する。 

4. 高層化への危惧。 

 仮に商店街を横断する補54号が15m−26mの幅員で出来るとその沿道建物は建築基準に従って高層化が可能になる。既存の住宅・商店街を大きく変える。丁度、環七もそうだが、笹塚や三軒茶屋のように道路両側が高層化してその裏側は従来の低層建物になり、日照や風害の問題が出てくる。スケールの大きい建物の凸凹が目立つ街にするのが都市計画なのか?土地も細分化されみどりも少なくばかりだから、そのままに従来の程度の低層建物の街を維持するようにしたい。20階30階の建物が拡幅道路沿いだけに並ぶような街は醜悪そのものだ。井の頭通りや補26号(北沢5丁目区間の拡幅道路)や小田急跡地の沿道では高さを従来の高さ(中低層?)のレベルに維持して、沿道の高層化はやめて欲しい。
また地元で具体的に説明して街がどう変化するのか地域住民と議論をしてその意向を確かめて欲しい。具体的な事例を挙げて可能な高さ基準を示し、表・裏通り細かくどういう高さの街になるかを説明して意向を問い結論をとり入れるようにして欲しい。

5.地域整備方針案検討会議での提案回答集

 みちグル−プの提案に対する回答集をみると、ストレートに回答していない点がいくつかある。すれ違いの回答になって巧みにとぼけている。

 (5−1)
 永年にわたって建設しないで放置してきた都の計画をそのまま踏襲するのは計画の名に相応しくない。永い間の地域社会での変化を考えて根本的に見直して欲しい。
 その回答がなくて、わかりきった原則論をのべているだけ。なぜ、再検討の要望をいれて都と異なる道路計画が作れないのか?区には考える頭脳がないのか?区独自の計画を都に出すとどうなるのか?都に逆らうとどういう不具合があるのか?そういうことを回答して欲しい。区の独自性を持つように働いて欲しい。大胆に計画の再検討をして欲しい。
 (5−2)
  交通量解析と投資効果を示さないのはおかしい。渋滞解消や住宅地への通過交通の減少をいうが、どこでその解消や減少があるのか?事業費は概算でいくらか?効果・便益は?何年に一度の交通量調査やOD調査データもあるのに交通量の変化をシミレーションして分析していない。だからどの道路で交通量がどれだけ減少するという予測が数字で示せない。漠然と混雑緩和とか渋滞減少をいう。そんな漠然とした計画が投資事業にあるか?さらに投資効果の分析をすると道路新設事業への財政支出が税金の浪費という形になることを官側は内々に知っているから投資効果の推計もしない。とぼけている。交通工学や経済学的な分析もして計画を根本的に見直して欲しい。

6. 延焼遮断帯

防災づくりでの延焼遮断帯に補54が挙げられている(第3部p25)。北沢のどこを延焼から守るのか?この図をみれば分かるように下北沢駅北側は環七、井之頭通り(いずれも4車線で幅員20m以上)、小田急の地下移動跡地、井の頭線と囲まれている。この交通ラインが周囲を囲みやや広い面積だが補54線なしに、それなりに機能する遮断帯となる。 図面で見れば分かるように延焼遮断帯の役割を補54計画にかぶせる必要はない。廻りを囲むこの交通ラインが延焼遮断帯の機能は果たせる。

7. 道路の防災機能

道路の機能が地震で駄目になる様子は最近の中越地震のTVや新聞で更に分かった。道路建設の理由づけにある防災上の役割をうんと割り引かないといけない。都市を地震や火災から守るためのアプローチを根本から考え直して、新しい道路を作らないで大災害から街を守る手だてを考えよう。そういう発想に切り替えて欲しい。
私は今まで着実にすこしづつ行われている小規模貯水槽、消火栓、手押し小型ポンプ・ホース車の増加を優先させるべきだと考えている。他の方法も加えて対策を考えればいい。道路に負わせる機能の中に防災機能はあってもいいがあくまでも2次的な扱いでいい筈だ。新設道路なしに北沢地区の防災機能を高める計画をつくろう。区がこのことを積極的に採り上げて住民と相談するよう希望する。    終
                  
註 (交通量観測データは、警視庁、都建設局、世田谷区にあり議論に必要なコピーを済ませている。区よりの呼び出しがあればいつでもこれらを持参して交通量の増減傾向は議論できる)。