「都市整備方針の基本方針と事業実体の乖離について」
■ 世田谷区都市整備方針全般について
はじめに、都市整備方針という自治体の専権事項としてまとめることを通例としてきたであろう書類を、区民と一緒に議論して作ろうとした、世田谷区の意識の高さに敬意を表させていただきます。
30日の説明会には、この整備方針をまとめるにあたり、多大な労力を費やした区民の方が、多く参加されていたようにお見受けしました。そしてそういった方々が一様に仰っていたことは、「自分達の意見が方針に全く反映されていない」もしくは「意図と違った記述がなされている」というものでした。
私自身は検討会議に出席しておらず、このような事態が生じている理由はわかりかねます。しかし想像するに、これは区民の要望が高く、行政側のできる限界と折り合いがつかなかったということなのではないのでしょうか。
また、第1部の基本方針に書かれていることと、実際におこなわれようとしている事業実体に大きな落差があることも気になります。具体的に例をあげると、第1部39頁(3)交通体系の整備の筆頭に「@環境にやさしい交通の充実」として「環境にやさしい自転車や公共交通への利用転換を促進する」と目標がかかれております。しかし今後10年間に区長が進めようとしている、幹線系道路である都市計画道路には、一切「自転車専用道路」の設計が見込まれていないというご回答をいただきました。
交通体系の整備計画における最優先事項のように記述されていることが、新たに土地を購入し作られる道路計画にさえ反映されていないのは、この「基本方針」が有名無実であることを端的に示しているといわざるをえません。きっと、はじめて参加した私でさえ気づいたこの部分などは、氷山の一角であろうと思われ、参加されていた区民のみなさんの無念さは想像に難くありません。
確かに、第1部の基本方針の多くが「方針」であって、そのまま実際の事業になるわけではないと、区が配布した「あらまし」にはかかれています。しかし、今後10年間という直近の予定について書かれた方針が、実際の事業計画とは、あまりにも大きなギャップがあるため、このマスタープランはとても読みづらいものになっていると感じました。そこで、下記の3点を要望します。
● 第1部にかかれている方針で、それぞれの地域における事業予定を具体的に示しているものに関しては、補足説明をつけ、対応をはかる。
● 基本方針が、現在予定されている事業との具体的な関連をもたない「方針」だけの記述については、それを明確にし、今後10年後以降も継続して目指す目標であることを明示する。
● せっかく熱意ある区民をあつめておこなった協働作業です。上記の作業をおこなった上で、状況を誤解ないように整理し、検討委員の方々とともに、再度精査していただくことを希望します。
区と検討委員の方々の意識高い行動が、実りある成果となって結実することを願って止みません。
■幹線道路系の計画道路の実施について
次に、世田谷区が今回、都市計画道路の実施検討に使用した交通量調査データは、平成11年のものであり、次回の交通量調査の実施予定は平成17年度であるという発言についてです。
この発言により、今回の都市整備方針見直しが、10年に一度のとても重要な機会であるにもかかわらず、それに際して、世田谷区は十分なデータ調査さえ、おこなっていないことが明らかになりました。
予算上、現在、区の財政が厳しいことは伺っております。しかし、都市計画道路の実施は、今後50年・100年先を見越した都市計画です。そんな大切なことを決めるために、十分なデータ解析さえおこなっていないという状態では、区民として都市計画を安心してお任せする気持ちにはどうしてもなれません。
もちろん、都市計画道路は車の交通量だけで、決めるようなことではなく、防災・環境・安全など、ほかにも指標とするべき基準があるという区の言い分は充分理解できます。しかし、最低限のデータ解析を、資料のひとつとして、実施もしないというのは違う次元の話だと思います。
また、前項目にも書きましたように、現在区が計画を進めている都市計画道路は、その機能さえも、まだ理念とはかけ離れたものであり、そのルートが50年以上も前に決められたものであるため、現在の街並みに即していない部分を、多くもっております。
具体的に数例あげさせていただくならば、
○ 80m北に、拡幅中の井の頭通りを抱えながら、現在繁栄している下北沢北口商店街を分断する計画の、補助54号線・環状7号線〜補助26号線区間
○ 街路計画が閑静な住宅地として、整然とした街並み形成がすでになされている、肋骨道路の中央を分断する補助215号線の都立松沢病院東側部分
○ 500m西に並行する完成道路をかかえながら、学校・お寺など、環境を大切にするべき環境資産をつぶしながらの計画である、補助154号線・松原2丁目・5丁目・6丁目部分
○ 同様に500m西に並行する完成道路をかかえながら、その計画道路の基本となる既存街路をまったくもたない補助133号線
など、まだまだ実際に現地を検分するならば、ほかのバイパスルートが容易にみつかりそうなものや、必要をまったく感じさせないものが、多々あるようです。そこで、以下の4点を要望します。
● 幹線系道路の事業認可前に、交通量調査などの実施を義務付けるというルールを課していただきたい。(来年度には調査が予定されており、現在の計画はその結果をも含めて、再検討を要望します)
● 幹線系道路の見直しは道路の拡幅・ルート変更・中止を含めた柔軟性をもった考え方で、5地域を超えた世田谷区全体の区民とともに話し合う体制を確立すること。
● 計画理念に即した、実効性のある道路計画の実施を目標とすること。
● 「環境にやさしい都市づくり・街づくりの重要性」を大切に、自転車・路面電車など、自動車以外の環境にやさしい交通手段への利用転換について具体的に検討すること。
以上よろしくお願いします。
追伸:熊本区長さま
末筆ながら、世田谷区の安全・快適なまちづくりのためにご尽力、ありがとうございます。
都市整備基盤の軟弱さから脱皮するため、計画を急がれるお気持ちはよく理解できます。しかしながら、50年・100年先を見据えた大切な見直しの機会です。多くの区民の意見が反映され、真に暮らしやすい世田谷の都市基盤をつくるために、さらに慎重かつ実直な都市整備計画の実現をお願いします。
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